理事長所信

理事長所信/2018年度


一般社団法人西脇青年会議所
第58代理事長 笹倉照暉

はじめに

私が前回理事長という大役を拝しましたのは3年前です。当時「アベノミクス」に日本が湧き、今その効果が現れていると言われていますが、果たして地方経済では実感できるでしょうか。全国的には雇用・所得環境の改善や株価の安定的な推移等を背景に、景況感は改善しているようですが、この地域では地域産業の低迷、人口流出による働き手の減少等あまりいい話を聞きません。

内閣府が発表する「地域の経済2017」をみると、地域経済の動向は「地方創生の取組の違いなどによって、程度が異なっている」とあります。つまりは全国的には景気回復傾向にあるが、地域の取り組み方によってはそうではないということです。また、人口流出など諸問題も同じ事と考えます。このような状況でこの地域でも行政での対策は進められているものと思われますが、住民としての取組は十分でしょうか。よりスピーディーに、より効果的に地域の活性化を考えるのであれば、地域住民が、地元青年がもっと積極的に地方創生の取組や諸問題に関わらなければならないと思います。

公益社団法人日本青年会議所は1951年「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」という覚悟のもと歩み始めました。そして私たち西脇青年会議所の先輩諸兄もその「志」に賛同し、1961年、西脇市及び多可郡周辺を主な活動地域とする、日本で198番目の青年会議所を設立されました。2018年現在、そこに「志」はしっかりと引き継がれているでしょうか。高度経済成長、好景気等日本経済が上昇気運の中を歩み続けてきた西脇青年会議所。また、バブルの崩壊、リーマンショック等日本経済が低迷するなか社会人となった我々世代が中核をなす西脇青年会議所。いつの間にか時代の中に埋もれてしまい、いつの間にか時代に身をゆだねるような、流れに抗う力なき存在になってしまってはいないでしょうか。今こそ私たちは「志」を再確認し、地域の衰退に対して抗う行動を、そして地域の明るく豊かな未来の為に地域住民の先頭に立って行動を起こさなければなりません。

人づくり

青年会議所では、会員の人間力開発、指導力開発など「人づくり」が長い歴史の中で脈々と受け継がれています。そして、この「人づくり」で得た経験を糧に地域で、日本で、世界でご活躍されている先輩方も多数いらっしゃいます。私たち一般社団法人西脇青年会議所にも「人づくり」は継承されていおり、先輩諸兄はこの地域のために多方面でご活躍されています。最近政府が「人づくり改革」という新たな政策を打ち出しました。この政策のテーマの中に「社会人のリカレント(学び直し)教育」というものがあります。これはまさに「大人の学び舎」とも例えられる青年会議所が継承してきた「人づくり」と共通するものではないかと考えます。「人づくり」がまちづくりの根本であることを知っている私たちが、私たち以外の加杉野地域にいる若き想いをもった青年たちを巻き込んで、新たな旋風を巻き起こす必要があると考えます。

また、私たちはjayceeであると同時に、一青年経済人です。私たちの地域貢献の最も重要たる一つは地域経済をけん引することです。私たちは地域経済の未来を背負う一人としてしっかりと働かなければなりません。そのために必要なスキルや経験をこの青年会議所できっと得ることができるはずです。また、青年会議所には様々な役職が用意され、地域の青年経済人の先頭に立ち事業をする経験、そしてその先には日本、世界へと、他では得難い経験の機会を得ることができます。このような経験は必ず自社を活性化する、地域を活性化する経済人になるための一助となります。自社のみならず、地域経済をけん引すべく、もっと自らを研鑽しましょう。メンバー同士切磋琢磨し、得難い経験の中で自らの経営資質、指導力を伸ばしましょう。私たちは一青年経済人として、社会的常識な当たり前のことを当たり前にできるように、そして地域を代表する経済人として地域経済に立派に貢献できるように、更には地域社会の発展に寄与できるように、そんな成長ができる「人づくり」団体となりましょう。

志、拡大

この地域にJCが無くなって困る人はいるだろうか。西脇青年会議所が会員減少により存亡の危機にある今私は考えます。恐らく困る人は少ないでしょう。しかし、私は思うのです。教育が国家百年の計であるならば、青年の学舎であるJCも百年の計ではないだろうかと。

近年、先輩諸兄が加杉野地域の為に様々な方面でご活躍されていますが、この原動力になっているのは青年会議所で育まれた志ではないでしょうか。私は57年間この地域で育まれ継承されてきた志を百年の計を以て未来に繋げることが、この地域の未来を明るく豊かな社会実現に繋がると考えます。今、未来に繋がるこの志を断つことがないよう私たちはしっかりと会員拡大をしましょう。西脇青年会議所の会員拡大は喫緊の課題です。組織の存亡を揺るがす会員減少に歯止めをかけ、志を未来に継承するため会員拡大を行うことがこの地域のより良い未来に繋がるのです。この地域百年の計を成し遂げられるよう、しっかりと志を拡大しましょう。

和を以て運動する

最近、青年会議所や消防団、自治会などに参加する若者が少なくなっています。現代の若者は社会における人との柵(しがらみ)を避ける傾向にあり、人間関係が希薄になってきているよう感じます。これは資本主義の発展に伴い個人主義的思想から落とされた影なのかもしれません。古来日本という国は集団主義的文化の国、和の精神を貴ぶ国とされています。和の精神で物事を成す文化伝統と知恵を持ち合わせた民族なのです。今、この日本は西洋的に発展し、国際的地位を上げてきました。しかしながら、近年海外から高い評価を受けるのは日本の和の文化や思想です。経済発展を遂げた後のこの混沌とした社会に、和の精神のもと今一度人と人との繋がりが必要となるのではないでしょうか。私たちが和の精神を根底に活動できていれるのであれば、近い将来再評価される時が訪れるはずです。今まで築き上げてきた繋がりを大切にし、家族を想いやり、友人を想いやり、地域を想いやる。我々はこのように繋がり想いやる精神を再確認し、この加杉野地域の未来の為、我らの運動を展開していきましょう。

自らを変える

青年会議所は大人の学舎である。その気になれば学ぶ事は無限に広がるのではないか。しかしその気にならなければ学ぶ事はできません。青年会議所に入会した理由は人それぞれあろうかと思いますが、その共通するところは人脈を広げるなり、見識を広げるなりより良き変化を求めてだと思います。しかし入会するだけでは、小さな変化はありますが大きなより良き変化はありません。自らが変わろうとしないと変わらないのです。また、自らが変えられないものに人を変えられず、会社も変えられず、ましてや社会を変えることはできません。現状に満足してしまい自らの変化に挑戦することを止めてしまうと、そこには停滞しか残りません。より良き変化を求めるのであれば、能動的に様々な課題にチャレンジし、成功でも失敗でも結果を出しましょう。挑戦しなければ何の変化もありません。青年会議所ではチャレンジすべき課題はたくさん用意されています。何事も前向きに捉え、修練という機会を大いに活用し、自ら変化を求めていきましょう。

小回りの利く組織

今西脇青年会議所は、会員減少が深刻な問題です。しかし、私は昔ある先輩がおっしゃっていた「山椒は小粒でもピリリと辛い」という言葉を思い出します。例え組織が小さくなっても悲観すること無く、小さいなら小さいなりのメリットを活かした活動が出来れば大きな組織にも引けをとらないのではないかと考えます。小さい組織のメリットのひとつは、全員の意思疎通をとりやすく小回りが利くことです。このメリットを最大限に生かせるよう、メンバー全員当事者意識を持ち各々の役割をしっかり果たし、組織の一体感を醸成して運動を展開して行きましょう。

結びに

今、日本社会はこれまで経験をしたことが無い人口減少という課題を持つ時代に直面しています。過去百年間、この日本は経済が発展し、人口も増え続けてきました。この社会情勢の中培われてきた私たちの価値観は、これからの時代にそのまま当てはめることができるのでしょうか。当たり前に思っていたことがそうではない、またその逆も起こりえる時代になっていくのではないかと思います。地方社会に於いても同じ事が言え、都市部と比べたら速い速度で変化が起こっています。その価値観の変動の中の1つに「墓じまい」があります。田舎の家督を継ぐ者が都市部に出てしまい、お墓の守人がいなくなった結果、墓じまいする場合と、若い者に迷惑をかけたくないと自分の代でお墓を終わらせるという場合がありますが、どちらにしても自分を育て、また自分の生まれ育った地域を作り上げてこられた先人に対して何の敬意もなく失礼なことです。やむを得ない場合があるかもしれません。しかし多くは今を生きる自分たち中心の考えに陥ってしまって、自分がどのような縁や支えがあってここに生きているのか想像する事が出来ない人が増えています。私たちの先祖代々が守り、育んできたこの地域を、私たちはこの急速に変化する社会の中未来に繋いでいく責務を果たさねばなりません。特にこの地域に骨を埋める覚悟をもった青年経済人ならばなおのことです。

この地域において、広く思いを巡らし、公を慮る人づくりは急務と考えます。先ずは私たち自身が青年会議所から与えられる機会を通して成長し、自らの襟を正し、志を広げましょう。古来より継承されてきた揺るぎない精神と、新たな時代の変化に挑戦する逞しき志を以て、私たちはこの社会の混沌という未知の可能性を切り開き、志を同じくする者を拡大し力を合わせ、青年としての英知と勇気と情熱をもって、明るい豊かなまちを築きあげましょう。

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