はじめに

当たり前なんてものはない。

私には、大切な娘が3人います。

そのうち2番目の娘は、成長が極端に遅く、身体機能に制限があり、複数の疾病を先天的に抱えています。3歳になった今も体重は極端に軽く、歩くことはできません。彼女が生まれた頃、私は「成長曲線に全く届かない」という、その事実を受け入れ難く、吐くまでミルクを飲ませていたことを思い出します。今まで私は、寝返り、ハイハイ、つかまり立ち、自ら歩く、といった「成長」は当たり前だと思っていました。

しかし、彼女なりにゆっくりと成長をし、2歳には寝返りができるようになりました。毎年のように手術をし、手間と時間をとられることも多いですが、笑いかけると全力の笑顔で返してくれる彼女は、私にとって大切な存在であり、これまで大きな「気づき」を与えてくれました。

それは「当たり前なんて無い」「成長の喜び」そして「感謝」です。

私たちは、このまちで商売を行えていること、仲間とともに自己研鑽をし、未来を語り合えることを当たり前と思ってはいけません。このまちがずっとあると思ってはいけません。まずは、先輩諸氏や仲間、まちに感謝の気持ちを持つことで、活動の意欲を高めていきましょう。そして、次代の子ども達が夢や希望が持てる、明るい豊かな社会の実現ができるよう運動を起こしていきましょう。

西脇青年会議所とは

「新日本の再建は我々青年の仕事である」との設立趣意書を掲げ、日本の青年会議所運動が始まりました。戦後の荒廃の中から経済再建の使命に燃え、高度経済成長を支えていきた運動です。設立当初のスローガンは「個人の修練、社会への奉仕、世界との友情」であり、これをJCの三信条として今日に至るまで受け継がれてきました。西脇青年会議所は1961年に198番目のLOMとして誕生し、61年もの間、まちの発展に向け時代に即した運動を展開してこられ、地域経済をはじめ地場産業を支える数多くの地域の著名人を輩出してきました。

 しかしながら、近年においては会員が減少し事業規模の縮小に加え、新型コロナウイルスの影響により思うように活動・運動ができなかったこともあり、地域への影響力は低下しています。だからこそ、改めてJCの存在意義を考える必要があります。

JCは、まちや社会全体を青年の目線から幅広く捉え、課題を自ら見つけ、より良くなるよう運動を起こすことができます。多種多様な、幅広い社会課題解決へ果敢に挑戦することこそがJCの強みです。

また、商売でつながり自社の利益を上げることを本質的な目的とするのではなく、まちをより良くするための会議を通してメンバー一人ひとりが、多様な意見を取り入れながら意思決定をし、まちのために行動を起こし、自らが成長していくことで、後天的に商売に繋がっていくという考え方も一つの特徴です。

明治維新、高度経済成長など、時代の変革を起こしてきたリーダーは、いつの時代も青年達でした。JCは青年のリーダーをこれまで多く輩出してきました。それは単にセミナーを受けるのではなく、得た知識を持って、自ら行動することによって加速度的に経験を積める青年の学び舎であるからです。この幾重にもなる経験は、咄嗟の判断力の向上につながります。不安定で予測困難な時代だからこそ、JCの必要性は高まっています。

私たちはJC活動を通じて、自ら運動を起こし、未来を切り開くことができるリーダーへ成長していきましょう。そして多くの青年に、その機会を提供しましょう。

当たり前が通用しなくなる時代に

近年においてはこれまでの常識を覆すような社会変化が次々と起きています。新型コロナウイルスにより、人々の生活様式や価値観を一変させ、従来の事業やサービスに囚われない変化を求められ、社会全体のデジタルシフトが一気に進みました。また、ヨーロッパでは戦争が今もなお続き、世界情勢は不安定になり、先行き不透明で予測困難な時代になっています。西脇市、多可町、加東市においては人口減少、少子高齢化の共通課題があり、まちを支える人が少なくなっています。また、商店数の減少、空き店舗が増加するなど、商業の活力が低下の一途にあります。このような時代だからこそ、我々青年は未来へ希望を持ち、持続可能な社会を実現するために、次代の担い手としての自覚を持って行動を起こさなければいけません。

 地域から真に必要とされる組織になるために、時流を捉え柔軟に変化をし、新しい手法に果敢に挑戦しましょう。また、市民社会の一員として多様性と持続可能性のある地域の実現に向かって努力をするとともに、個々人をよりよく開発していきましょう。

未来を担う人財育成

JC運動は多様な人財が集まり会議を通じてブラッシュアップされることで、真に地域から必要とされるものになります。そのため、会議の精度や規律は事業構築に大きな影響を与えます。これまで受け継がれてきた伝統ある会議運営が今の時代に即しているか、当たり前を疑いながら会議運営自体もブラッシュアップしていく必要があります。規律は組織の一体感を生み出す上で必要です。規律や礼節を理解した上で、新しい様式に果敢に挑戦していくことが大切です。

地域の発展を目指す私たちも、自分の社業や生活が豊かであり、輝いていなければ良い影響を伝播することはできません。私たちは一人ひとりが「未来を担う人財」であることを自覚し、成長していくことで、組織として地域に良い影響を与えることができます。まずは今の時代に必要とされる人財や組織の在り方を明確化し、新たな発想を生み出す柔軟な思考を学ぶことで個々の資質向上となり、今の時代に必要な組織へと昇華することができます。また、青年会議所が有するネットワークを活用し、他の地域で活躍する仲間と意見交換を行うことで新たな思考を手に入れることができ、成長へとつながります。自分のまちを想い行動する仲間と出会いは自身の価値観や視野を広げる最高の財産となり、未来を担うリーダーへと成長していきます。誰もが成長を感じられる機会を提供することで魅力ある組織へと成長していきます。

未来を担う人財が集まり、地域に必要とされる組織へと成長し、次代の人財を育成できる組織になり、未来へのバトンを繋いでいきましょう。

まちを想い、理念を拡大

近年の西脇青年会議所は会員数減少に悩まされてきました。会員数減少による事業規模の縮小は、地域への影響力が低下し、会員の成長する機会も減少してしまいます。西脇青年会議所がこれからも自分のまちを想い、明るい豊かな地域社会の実現のために行動を起こす青年を輩出し続けるためには、常に本質を追求し、ミッションを理解し、ビジョンを持たなければなりません。

まずは、私たち自身が理念を持って行動ができ、会員一人ひとりが影響力あふれるひとになっていくことで組織としての魅力が向上していきます。一人の優れたメンバーが変化を先導するのではなく、誰もがリーダーシップを発揮できるように、常に実践的なトレーニングを行い、全メンバーの能力向上に努めなければなりません。そして、新たに入会してきたメンバーに対して適切なフォローアップを行うことで、より早い段階でリーダーシップを発揮できるように成長の機会を提供していきます。また、会員拡大を後押しするためにも戦略的に広報活動を行う必要があり、西脇青年会議所の魅力を、誰に届けるのかを意識し、これまでの常識にとらわれない情報発信に取り組んでいきましょう。

誰もが理念を持ち、主体的にかつ自主的に行動を起こせるようになれば、必ず拡大は成功します。メンバー一人ひとりが、青年会議所の価値を認識し、より多くの青年に成長と発展の機会を提供するべく会員拡大を行い、未来へのバトンを繋ぎましょう。

帰ってきたいと想えるまちを目指して

私たちのまちは豊かな水と、澄んだ空と、山々に囲まれた自然豊かな環境にあり、それらが刻々と変化し季節を教えてくれる自然豊かな風土です。また、この自然環境によって育まれてきた200年の歴史を誇る「播州織」などの地場産業の繁栄を中心に発展をしてきました。芸術、スポーツをはじめとする各界で活躍を続ける人財を輩出してきた、実に魅力ある地域資源を有しています。しかしながら1987年をピークに「播州織」の生産量は減少し、それに伴い産業全体も縮小し、人口流出も始まりました。西脇市の人口は2022年時点で4万人を切り、多可町においては2万人を切り、加東市も4万人を切りました。特に少子高齢化による生産年齢人口の減少が共通する課題です。生産年齢人口の減少はまちの衰退を意味しています。将来にわたって活力ある地域社会を持続していくために、私たちは率先して行動を起こさなければなりません。

持続可能性のある地域社会を目指す上で、移住ばかりに目を向けていていいのでしょうか。まずは、この地域に生まれた子ども達にフォーカスを当てるべきです。将来、子ども達が進学等で都市部に行ったのちに、この地域に「帰ってきたくなる」ためには、「ここでも自分のしたい仕事ができる」という体験と選択肢を見せることで、この地域には多種多様な職業が存在し、魅力ある人が多くいることを知ってもらい、このまちに生まれたことを誇りに感じてもらう取り組みが必要です。近年のデジタルシフトによって物理的距離の制約がなくなってきました。都市部でしかできない仕事は田舎でもできる仕事になってきています。この地域で生まれ、現在は都市部で暮らす人たちが「帰ってきたくなる」ように、情報発信も必要になってきます。

私たちは、先輩諸氏から受け継いできたまちを次代のこども達にどのような形で渡すのかを常に考え、行動し、未来へのバトンを繋いでいきましょう。

結びに

大きな社会変化が起きています。不安定で予測困難な時代だからこそ、多様な意見を取り入れ、素早く意思決定をし、行動を起こすといった経験を加速度的に積むことができる青年会議所の必要性は高まっていると思います。私たちは一人ひとりが、より良い未来を考え、多様性と持続可能性の地域の実現に向けてポジティブに行動を起こせるようになれば、必ず地域に必要とされる組織になります。そして、子ども達が夢や希望を持ってもらうためには、自分たちが未来へ希望を持ち、活力に溢れていなければなりません。まずは自分たちが楽しみながら挑戦し、仲間とともに自身の成長を喜び合い、周囲へと伝播させていきましょう。また、行動や運動の源泉に「感謝」があれば、その力が増します。そんな人たちが青年会議所に、まちに、溢れてくれば未来は必ず明るいものへとなるはずです。

基本方針         

 自分のまちの未来を想い、行動しよう

行動指針           

  • 仲間と自らの成長を喜び合おう
  • 人が集う雰囲気を創ろう
  • プロセスを大事にしよう
  • メリハリを楽しもう
  •  意思を表現しつつ意見を聴こう

                    

2023年度LOMスローガン

「Action! 〜未来へバトン〜」

一般社団法人 西脇青年会議所
第63代理事長 森川 元良

一緒に活動する仲間を募集しています

西脇青年会議所ではただセミナーを受けるだけではなく、様々な役割を担い、仲間と共に事業を計画し実践することで自己成長を促します。ここで培われた経験や人脈は一生ものです。

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